第76回全日本アマチュア将棋名人戦沖縄県大会代表選抜準決勝(2) ▲禰保拓也七段△亀井匠磨四段 観戦記

2022年7月19日

 7月3日に開催した76回全日本アマチュア将棋名人戦沖縄県大会へ来場された島本亮五段に、大会の観戦記を寄稿いただきましたので、以下に掲載いたします。

 島本先生、執筆ご協力に感謝申し上げます。


第76回全日本アマチュア将棋名人戦沖縄県大会代表選抜準決勝(2)
持ち時間 10分切れたら一手30秒
▲禰保 拓也
△亀井 匠磨

初手からの指し手
▲7六歩 △8四歩 ▲5六歩 △8五歩 ▲7七角 △3四歩
▲5五歩 △6二銀 ▲5八飛 △4二玉 ▲4八玉 △7四歩
▲7八金 △5二金右 ▲3八玉 △3二玉 ▲2八玉 △4四歩
▲3八銀 △4三金 ▲6八銀 △3三角 ▲5七銀 △7三銀
▲5六銀 △6四銀 ▲4六歩 △9四歩 (第1図)

 先手中飛車(ゴキゲン)vs後手64銀型・持久戦調。
 先手の▲7八金が少し早いなと感じるものの、特に影響はないようですね。
 ▲4六歩に対する△9四歩、この一手は必要なのかどうなのか。
 様子見をする段階ではない(守りが完成しておらず)でしょうし、すぐに△7五歩と動いていくのも考えられるところ。
 ただ、流れ的には持久戦調なので、攻めるというよりは△2二玉や△4二銀、どうしても様子を見るなら△1四歩でと思うのですが。

第1図は△9四歩まで。
第1図は△9四歩まで。

第1図以下の指し手
▲1六歩 △2二玉  ▲6六歩 △7五歩 ▲同歩 △3二銀
▲7四歩 △8四飛 ▲6五歩 △7五銀 ▲5四歩 △同歩
▲4五歩 △8六歩 ▲同歩 △7六歩 ▲8八角 △8六飛
▲8七歩 △8五飛 ▲7三歩成 △4五歩 (第2図)


 ▲66歩と突かれると、次に▲65歩が見えているので、△75歩の開戦は当然か。

 しかし素直に△7五同銀と進めず、△3二銀とするのは落ち着いているともとれるが、手が遅れているようにも思える(なお3二銀も3二金との比較で悩むところ)。

 ここは△7五同銀として①▲6五銀なら△8六歩▲同歩△同銀▲5九角△7五銀と進めたい。部分的に▲5四歩の攻めは△4二金上で耐えられるので、主張したいところ。
また②▲6五歩なら△8六歩▲同歩△7六歩といった感じ、特にどうではないが、本譜よりは動きやすいように思います。

 本譜は▲7四歩を利かされて、▲5四歩~4五歩の仕掛けが入っています。
 戦う場所が違うので、後手としてはイヤな展開になっていると思います。
 △8六飛とした手も、やや気合負けな感じ。相手を見て恐れているのかなと感じます。
 △8六銀として▲4四歩△同金▲6六角△7四飛と耐える展開にはなりそうですが、攻防を兼ねられるので、仕方ないところのようにも思います。
 8五飛と7五銀が機能しない形、これは辛い。

第2図は△4五歩まで。
第2図は△4五歩まで。

第2図以下の指し手
▲3三角成 △同金 ▲6三と △6九角 ▲6八飛 △7八角成
▲同飛 △8七飛成 ▲9六角 △8九龍 ▲5二と △同金
▲同角成 △7八龍 ▲4二馬 △4一金 ▲7五馬 △6九飛
▲5九歩 △4六桂 ▲4七銀引 △6四歩 ▲5三角 △4三金
▲6四角成 △6三歩 ▲3一銀 △3三玉 ▲4六馬 △同歩
▲2五桂 △2四玉 ▲4六銀 △1四歩 ▲4四歩 △4八歩
▲3九金 △4四金 ▲5三馬 △6六角 ▲4四馬 △同角
▲4五金(第3図)

 先手は順調な攻め、後手も△6九角から飛車は成ったものの、駒損の攻めですし、7五銀が取り残されているので、戦力不足で厳しい展開。
 ▲9六角は、こう指したいところですが、▲4八飛(7九歩も)として△8九竜に▲5三歩から二枚のと金攻めも厳しい攻めでした。
 本譜、先手は飛車を取られても余裕の攻めだとは思いますが、ボロッと飛車を取れた後手からすると大戦果。損得がなくなれば、後手も粘る気が起きるので、先手としては丁寧に指したほうが良かったのでは?と思ってしまいます。
 7五馬が攻防に利いている好位置なので、まだ先手が良いでしょうけど、後手も歩を駆使して上手く粘っています。

第3図は▲4五金まで。
第3図は▲4五金まで。

第3図以下の指し手
△7一角 ▲4四歩 まで。(投了図)


 いよいよ大詰めの局面です。ここが後手にとって最後のチャンスだったかもしれません。
 △5九飛成として、①▲4四金には△3九竜▲1七玉に△3六金という奇手が。
 ▲3五角以下の詰みを防いで、△2八角以下の詰みも見た手。対して▲3六同歩ですと△2八角▲2六玉△4六角成と進み、以下▲3五角△同馬▲同歩△4三銀打となりまして、厳密には先手が残していそうですが、まだまだ勝負形だったようにも思います。

 ②▲4九歩と竜の横利きを止めますと、そこで△7一角(他の手が正しいかも)とすれば4四歩が打てず、どうなっていたでしょうか。

投了図は▲4四歩まで。
投了図は▲4四歩まで。

(島本亮)