第76回全日本アマチュア将棋名人戦沖縄県大会代表選抜準々決勝(4) ▲亀井匠磨四段△天藤淑一五段 観戦記

2022年8月1日

 7月3日に開催した76回全日本アマチュア将棋名人戦沖縄県大会へ来場された島本亮五段に、観戦記を寄稿いただきましたので、以下に掲載いたします。

 島本先生、執筆のご協力に感謝申し上げます。


第76回全日本アマチュア将棋名人戦沖縄県大会代表選抜準々決勝(4)
持ち時間 各10分切れたら一手30秒
▲亀井匠磨四段
△元藤淑一五段

初手からの指し手
▲2六歩 △3四歩 ▲2五歩 △3三角 ▲7六歩 △4四歩
▲4八銀 △3二銀 ▲6八玉 △4三銀 ▲5八金右 △8四歩
▲7八銀 △8五歩 ▲7七角 △3二金 ▲4六歩 △6二銀
▲4七銀 △6四歩 ▲3六歩 △6三銀 ▲1六歩 △7四歩
▲3七桂 △5二金 ▲5六銀 △5四銀右 ▲6六歩 (第1図)

後手雁木の戦い。先手は左美濃の形をしていますが、最終的にどこへ落ち着きますか。
序盤の詳しいことは分かりませんので(苦笑)興味のある方はお調べください。
第1図まで進んだところでは、全くの互角です。

第1図は▲6六歩まで。

第1図以下の指し手
△7五歩 ▲同歩 △7二飛 ▲6七銀上 △7五飛 ▲7六歩
△7四飛 ▲7八金 △4一玉 ▲7九玉 △9四歩 ▲9六歩
△3一玉 ▲2六飛 △1四歩 (第2図)

△7五歩、この仕掛けは珍しい?あまり印象にない感じです。
本譜の△7四飛と引いた形がどうかですね、手数を掛けてやる価値があるかどうか。
(8筋の飛車で十分に働いているという説もありそうなので)
①△9四歩②△1四歩③△7三桂④△4二玉など、どれも互角です。
▲2六飛では、すぐに①▲4五歩もあるところ。
一例では△4五同歩▲3五歩△4六歩▲4五桂△4四角▲2四歩△同歩▲3四歩△同銀▲2四飛△3三歩▲2二歩△同金▲6五歩の要領で。ここまでいけば後手はイやな感じ。
他には②▲1五歩もある。
当たりが強くなりそうなので、▲2六飛は指しにくいとみるが、難しいところか。

第2図は△14歩まで。
第2図は△14歩まで。

第2図以下の指し手
▲3五歩 △6五歩 ▲4五歩 △7三桂 ▲2四歩 △同歩
▲4四歩 △同角 ▲6五歩 △同桂 ▲4四角 △同銀
▲2二歩 △7七歩 ▲2一歩成 △4一玉 ▲7七桂 △同桂成
▲同金 △3五銀 ▲2八飛 △6五桂 ▲同銀 △同銀 (第3図)

△6五歩では△7三桂や△8四飛など、力を溜めるのも有力。
▲4五歩では▲6五同銀として△同銀▲同歩△7三桂▲7五銀△5四飛▲6六銀と手厚く指すのも有力なようです(一例です)。
▲4四歩辺りで▲1五歩と戦線拡大というか、突き捨てるのも有力。
△6五同桂、素直に指している後手ですが、▲2二歩まで進むと刺さりつつある雰囲気が。なので△3五角として▲2九飛に△6五桂と勝負はどうでしょう。
▲2二歩に①△同玉は▲6六角がイやな筋。また②△同金も▲6一角が嫌味。
しかしながら、ボロッと桂を取られて、と金ができたのも痛い。
①の変化で△4三金右以下、頑張るしかなかったか。
本譜は先手優勢。

第3図は△6五同銀まで。
第3図は△6五同銀まで。

第3図以下の指し手
▲3三歩 △同金 ▲4五桂 △3二金 ▲3三歩 △4二金左
▲8三角 △4四飛 ▲6五角成 △4五飛 ▲5五桂 △3七角
▲4三桂打 △3三金 ▲3一と △4二玉 ▲5一銀 △同金
▲同桂成 △3一玉 ▲4三金 △4九飛成 ▲6九桂 △5五角成
▲同馬 △4三金 ▲4八飛 △同龍 ▲同金 △4四歩
▲4一飛 △2二玉 ▲4三飛成 △3二金 ▲4一角 △2三銀
▲3二角成 △同銀 ▲2三金 △同銀 ▲3三金 まで。(投了図)

▲4五桂に△2三金で…と言いたいところですが、▲3三歩と垂らされて痛い。
▲5一銀が少し怪しくて、▲6四桂の方が紛れがなかった。
▲4三金に△2二玉としていれば、もしかしたら?があったかもしれない。
少し先手の攻めが細くなっている。
▲4一角では▲1三角△同香▲1二金以下の詰み。「長い詰みより…」というほど長くないので詰ましてほしかった。(最後の▲2三金も▲1三金以下。)
後手は7五歩からの構想がどうだったか、研究課題となりそうです。

投了図は▲3三金まで。
投了図は▲3三金まで。

(島本亮)