第76回全日本アマチュア将棋名人戦沖縄県大会代表選抜準々決勝(2) ▲安里光太郎六段△仲原輝四段 観戦記

2022年7月24日

 7月3日に開催した76回全日本アマチュア将棋名人戦沖縄県大会へ来場された島本亮五段に、観戦記を寄稿いただきましたので、以下に掲載いたします。

 島本先生、執筆のご協力に感謝申し上げます。


第76回全日本アマチュア将棋名人戦沖縄県大会代表選抜準々決勝(2)
持ち時間 各10分切れたら一手30秒
先手:安里光太郎
後手:仲原輝

初手からの指し手
▲5六歩 △3四歩 ▲5八飛 △4二銀 ▲7六歩 △3三銀
▲4八玉 △6二銀 ▲3八玉 △4二玉 ▲2八玉 △8四歩
▲3八銀 △7四歩 ▲6八銀 △7三銀 ▲6六歩 △3二玉
▲6七銀 △4四銀 ▲4六歩 △5一金右 ▲5九金左 △4二金右
▲4八金左 △5四歩 ▲4七金 △6四銀  (第1図)

後手の出だしが矢倉?と思うような動きですが、手が進めばよくある2枚銀の将棋。
ただ、形を決めて動いているのは否めないので、先手が後手の動きを見ながら、上手く駒組みを進めた感じがします。一例では「5五の位を取らないことで目標にされない」などでしょうか。
△8五歩を保留したのは、なにかを狙っていたのでしょうか?
突いたからといって損はないと思うのですが。

第1図は△6四銀まで。

第1図からの指し手
▲6五歩 △7三銀 ▲6六銀 △6二飛 ▲6八飛 △6四歩
▲同歩 △同銀 ▲6五歩 △5三銀右 ▲3六歩 △1四歩
▲1六歩 △3三銀 ▲5五歩 △同歩 ▲同銀 △6七歩
▲同飛 △2四銀 ▲7七角 △5四歩 (第2図)

△7三銀で△6五同銀は▲7七桂△6四歩▲6五桂△同歩▲6三銀ぐらいで先手有利。
けれど、すんなり位を取られて先手に主張された本譜も、後手としては辛い展開。
先手は自然な指し回しで優位を拡大している感じ。
△3三銀と引いた手は△2四銀の展開を見たのかと思いますが、やはり△8五歩として△8六歩▲同歩△8二飛▲7七角△7三桂のような感じで、千日手になれば御の字のような指し方もあったかと思います。
▲3七桂と跳べば△3五歩~2四銀など無理気味ですが、先手も気にすれば気になるかなと。
△6七歩では辛いですが、単に△5四歩として▲6四銀△6三歩と辛抱、▲5三銀成△同金▲3七桂△4四歩と徹底的に我慢するのもあったと思います。
銀を手持ちにできるので、ジリ貧とはならずチャンスを待つ指し方も一考かと。

第2図は△5四歩まで。

第2図以下の指し手
▲6六銀 △7三桂 ▲9八香 △3五歩 ▲同歩 △同銀
▲3六歩 △2四銀 ▲8六角 △9四歩 ▲7五歩 △8五歩
▲5九角 △6五桂 ▲7四歩 △7二歩 ▲4八角 △6四銀
▲2六角 △6一飛 ▲6三歩 △4四角 ▲同角 △同歩
▲6五銀 △7八角 ▲6八飛 △6五銀 ▲7八飛  (第3図)

▲6六銀は手堅いですが、歩切れの後手なので▲6四銀といってもよかったかなと。
以下△4四銀とかわしても①▲4五歩△同銀▲4六歩もありますし、②▲5五歩△同歩▲5四歩のような攻めもあって、どちらも先手優勢かと思います。
棋風の問題と言ってしまえば、そのような気もします。
▲4八角では▲7三歩成△同歩▲6三歩△同飛▲6五銀△6六歩に▲6四歩△同銀▲同銀△同飛▲7七飛とするのもありました。7三飛成と3四桂が残っているので先手優勢です。
▲4八角とワンクッション置いて△6四銀を誘っての▲2六角も上手いですけどね。

第3図は▲7八飛まで。

第3図以下の指し手
△6三飛 ▲7三歩成 △同飛 ▲同飛成 △同歩 ▲3四桂
△3三銀 ▲4二桂成 △同銀 ▲6一飛 △5一桂 ▲6五飛成
△1五歩 ▲同歩 △1七歩 ▲同香 △7九飛 ▲6七角
△3一金 ▲5三歩 △同銀 ▲5二歩 △4三桂 ▲3四銀
△2二銀 ▲5一歩成 △6四歩 ▲4三銀成 △同玉 ▲3五桂
△4二玉 ▲3四角  まで。(投了図)

終始、手堅い指し回しで先手の安里さんの完勝だったと思います。
後手の仲原さんは力を出し切れなかった、といった内容でしょうか。

投了図は ▲3四角まで

(島本亮)